いくらまでなら融資を受けても大丈夫?
会社を守るためには、手許のキャッシュを厚く持っておくことがとても大切です。
もし、手許のお金に不安があるのであれば、借入に対して過度に躊躇しない方が
いいでしょう。
だからといって、いくらでも借金してもいいわけではないし、銀行も貸してくれる
わけではありません。
では、いくらまでなら融資を受けることができるのか、借りても大丈夫なのか?
これは融資を受けているお客様からよく聞かれる質問でもあります。
いくつかの目安があるのですが、今回はその中でもよく使われる2つのアプローチを
紹介したいと思います。
まず一つ目は、
「債務償還年数」からのアプローチというものです。
これは、「借入金総額をどれくらいの期間で返すことができるのか」という視点から
借入金の上限額を判断する方法です。
借入金は何で返済するのでしょうか?
それは利益です。
もう少し厳密にいうと、税金を支払った残りである「当期純利益」と呼ばれるものです。
ただ、この利益を計算するために差し引いた経費の中に、「減価償却費」というものが
含まれていることが多いと思います。
減価償却費というのは、設備投資として支出した金額が、お金を払った時点で全額経費と
なるのではなく、何年間かに分けて費用としていくものです。
この減価償却費は、経費として計上はされていますが、既にお金は購入時に支払っている
ため、実際にお金が出ていくわけではありません。
したがって、借入金の返済財源を計算する時には、
<返済財源=当期純利益+減価償却費>
として計算することになります。
そして、借入金の総額をこの返済財源の金額で割ることで、
「借入金総額を何年で返済できるか」という「債務償還年数」が計算できます。
<債務償還年数=借入金総額÷返済財源>
では、この債務償還年数が何年以内であればいいのでしょうか?
一つの目安として、債務償還年数は「10年」であることが妥当であると言われています。
続いて、2つ目のアプローチが、
「平均月商」からのアプローチというものです。
これは、借入期の総額が平均月商の何か月分であるかという「借入金平均月商倍率」を求め、
融資の限度額の目安とするものです。
<借入金平均月商倍率=借入金総額÷平均月商>
この数値は、粗利益率によって判断基準が変わってきます。
例えば、粗利益率が低めの卸売業であれば、「平均月商の3ヶ月分」であったり、
粗利益が高めの製造業やサービス業であれば、「平均月商の6か月分」を上限額の
目安とします。
手許の現預金に余裕を持つために借入金に対して過度に躊躇してほしくはありませんが、
もし借入をするのであれば、正しい知識を持っておいて欲しいと思います。