借金があるから倒産するわけではありません。
あなたは、借金をすることについてどんな考え方を持っていますか?
借金と言っても、会社つまりビジネスでの借金についてです。
「借金するのはいやだ」
「借金するぐらいなら、事業をあきらめます」
このような考え方を持っている方もいるのではないでしょうか。
多くの人は、「借金は身を滅ぼす」、「借金は怖い」と感じていますよね。
それは、「消費者」としては望ましい姿勢です。
消費者がする借金というのは、多くの場合の目的は「消費」です。
消費ということは、後でお金が増えて返ってくるわけではありませんよね。
ただ、ビジネスにおける借金との付き合い方は違う考え方を持つべきなのです。
少し極端かもしれませんが、次のようなケースを考えてみて下さい。
1.借金は0円。預金通帳の残高は10万円。
2.借金は1000万円。預金通帳の残高は1010万円。
(借金は、5年間で分割して返済するものとします)
いかがでしょうか?
1のケースも2のケースも、自分のお金が10万円であることは同じです。
あなたは、どちらのケースの方が安心していられますか?
自分がもし1の状態になったら、きっと心配で夜も寝られなくなると思います。
預金が10万円しかないということは、すぐにお金がなくなってしまい、
そこで経営は終わってしまいます。
しかし、2のような状態であれば、預金の大部分が借金によるものですが、
通帳に1010万円あります。しかも5年間での分割返済ですから、毎月の
返済額は17万円ほどです。
起業した当初や、新規事業を始める時は、最初はうまくいかないことの方が
多いと思います。
私自身も独立してから一番感じたのが、通帳の残高が減っていくのを見る
恐怖です。
経営者の方であれば経験されたことがあると思います。
この恐怖を感じた状態で経営を続けいていくというのは、とても危険な
ことです。
なぜなら、社長の中で資金繰りや資金調達の優先順位が高くなることで、
判断力が鈍るおそれがあるからです。
そもそも、なぜ借金をしたくないのかと言うと、倒産したくないから
ですよね。
これを勘違いしている社長が意外と多いのですが、借金があるから会社が
倒産するわけではありません。現預金が無くなったから、倒産してしまう
のです。
そして、現預金を減らす要素というのは、「赤字」だけです。
赤字が膨らむことで、借金が増え、返済ができなくなり倒産してしまうのです。
つまり、倒産の原因は「借金」ではなく、「赤字」であることなのです。
このポイントを勘違いしないようにして下さい。
確かに借金をすることはこわいこともあるかもしれませんが、現預金が手許に
潤沢にあるメリットも考えてみて欲しいのです。
例えば、
・ 入金サイトを気にせずに、利益率を確保した大手得意先との交渉ができる
・ 支払サイト短縮に伴う仕入値引きの交渉ができる
・ 新規設備導入により、競争力を向上することができる
・ 浮いた資金で交友関係を広めて取引先を拡大することができる
いかがでしょうか?
もっとお金があれば、こんなこともできるのにと思ったことはありませんか?
無借金経営は確かにすばらしいものだと思います。
ですが、無借金経営はお金を上手く活用したことでもたらされる「結果」であり、
目標として目指すものではないと個人的には考えています。
もし目指すとしたら、「実質無借金経営」で良いと思っています。
借入金残高から現預金残高を差し引いた「実質借入金ゼロ」の状態を「実質無借金経営」
と言います。
無借金経営以上に、手許に余裕のある現預金を蓄えておくことの方が優先順位が高い
と考えています。