会社の儲けの構造
「儲けるための会計」は、【戦略MQ会計】、【STRAC図】
又は【未来会計図】などと呼ばれていますが、考え方は同じものです。
実際にこれらを活用する時は、図形を使いながら視覚的に捉えていきます。
それでは、具体的に見ていきましょう。
全ての企業の儲けの構造は、ある【5つの要素】で構成されています。
そして、この内の4つの要素を自在に動かすことで利益の最大化を
目指すというものです。
まずは、5つの要素を順に紹介していきますね。
1.要素P-価格(プライス)
1番目の要素は価格です。価格は英語でプライスなので、
その頭文字をとって「P」といいます。
2.要素V-変動費(バリアブル・コスト)
2番目の要素は、変動費と呼ばれる原価にあたるものです。
バリアブル・コスト(変動費)の頭文字をとって「V」といいます。
3.要素Q-数量(クォンティティ)
3番目の要素は数量です。
クォンティティの頭文字をとって「Q」といいます。
4.要素F-固定費(フィックスド・コスト)
4番目の要素は、固定費です。フィックスド・コストの頭文字を
とって「F」といいます。
固定費Fは会社の生活費であり、人件費、家賃、通信費、水道光熱費
金利などの「ヒト・モノ・カネ」にかかる経費のことです。
5.要素G-利益(ゲイン)
最後の5番目の要素は、利益です。
ゲインの頭文字をとって「G」といいます。
おそらく言葉自体は、聞いたことがある方が多いのではないでしょうか。
これを使ってどうやって考えていくのかというと・・・
まずは、簡単な例で儲けの流れを理解していきましょう。
缶コーヒーを販売しているある会社があるとします。
この会社は、仕入原価60円の缶コーヒーを1本100円で売っています。
当月は10本販売しました。
そして、月にかかる固定費が300だとします。
この場合、P=100円、V=60円となりますので、
まずは1本当たりのM(粗利単価)を求めることができます。
この「M」というのは、マージンのことです。
P100円-V60円=M40円となり、1本当たりの儲けは40円という
ことがわかります。
1本あたりの各要素がわかったので、次に販売数量であるQ(10本)を
それぞれの要素に掛けます。
P100円×Q10本=PQ(売上高)1000
V60円×Q10本=VQ(売上原価)600
M40円×Q10本=MQ(粗利総額)400
ここまでわかれば、利益Gを求めることができますね。
MQ400-F300=G100
一番お伝えしたいポイントは、儲けがでるかどうかは、
粗利総額であるMQと固定費Fのバランスで決まるということです。
MQ > F → 黒字企業
MQ = F → トントン
MQ < F → 赤字企業
つまり黒字企業というのは、固定費F以上の【MQ】を稼ぎだせる会社のことです。
そして、4つの要素を自在に動かすというのは、コントロールできるP、V、Q、Fの
4つの要素について戦略、戦術を考えるということなのです。
前回のメルマガでもご紹介した俺のイタリアン、フレンチはどういう戦略をとって
いるのか考えてみましょう。
結論から言うと、ビジネスモデルの肝になっているのは、VアップとQアップ戦略なのです。
具体的には、原価率をかけながら、回転数を上げることを徹底した戦略をとっています。
確かに原価率を上げるということは、一人あたりのM(マージン)は少なくなりますが、
それ以上の回転数つまり客数を圧倒的に増やすことで、MQの額を最大化しているのです。
良い食材をふんだんに使用して原価率を高め、ボリュームを見せることを大切にしています。
これによって、お客様の感じるコスパはとても高くなり、感動し、そしてそれが口コミと
なっています。
結果として、一般の飲食店よりも広告費コストを抑えることができているはずです。
ただ、原価率を高めるだけではもちろん赤字になってしまうので、回転数を上げることを
追及した結果、立ち飲みという答えを導きだしているのです。
この事例を通して感じていただきたいのが、粗利「率」ではなく、粗利「額」を
稼ぐことの重要性です。
なぜなら、儲けが出るかどうかは、固定費F以上のMQの額が稼げるかどうかだからです。
どんなに粗利率が高くても、固定費以上稼げなければ、赤字になってしまいます。
粗利額であるMQというのは、会社や組織が生み出してる【価値】です。
この【価値】をいかに高めていくのか、増やしていくのかのアイデア、発想が大切なのです。
この時、前回紹介した会計の思い込みがあると儲けの発想を邪魔してしまいます。
その思い込みとは、利益を出すためには、1.売上高を上げる2.粗利率を上げる
3.固定費を下げるというものです。
この思い込みし縛られてしまうと、俺のイタリアンやフレンチなどの発想は
でてこないでしょう。
このMQ会計の優れているところは、その発想やアイデアをすぐにシミュレーション
できるところなのです。
他にもこのMQ会計を活用すると、色んなことができます。